「…………本気で言ってるの?」
"幻滅した"と言わんばかりに、紗和は俺に低い声で聞き返してきた。
「じゃなきゃ、相性なんて分からないだろ。俺はオンナをイヤっつーほど取っ替え引っ替えしてきたし。だから紗和も色んなヤツに抱かれてイイよ」
「抱かれないよ!! 私は好きな人にしか抱かれない。私は悠一さんとは違う!!」
俺の背に乗ることなく、俺の手から自分の鞄を奪い取り、フラフラな体で立ち上がった。
意地でも自力で帰るらしい。
おぼつかない足で玄関へと行き、ローファーを履く紗和を見て、俺も自分のバッグの中から財布を取り出す。
「紗和、タクシー代」
万札を紗和の前に差し出すも、見向きもせずに『いらない』と突っぱねた。
「金、持ってんのかよ」
「3000円なら………」
「3000円じゃどうにもならないだろ。いいからコレ使って」
「…………関係ないじゃん!! 私がどうやって帰ろうが、他の人に何されようが、仮に誰かに抱かれようが、悠一さんには全然関係ないじゃん!!!」



