姉のカレシの、闇に溺れて




 俺が沙羅ちゃんと付き合っているのは、紗和がいるから……

 
 紗和が沙羅の妹だから。


 酷なことを想ってるいる俺に対し、紗和は戸惑いながら聞いてきた。



「…………もしかして私、悠一さんのケーキ食べちゃいましたか?」



 俺がこの家に無理やり引っ張ってきたことに変わりはないけど、それでも紗和は逃げ出すことなく、今ここでこうして俺の部屋にいる。


 やっぱり、チャンスは今しかない。


 一緒になれないなら今から俺と一緒に苦しんで。
 


「――――ん、俺は今から食べるから」



「それじゃ、帰ります」



 立ち去ろうとする紗和の腕を掴み、勢いよく抱き寄せた。



「なにす…………」


「言ったろ、"今から食べる"って」