「ああ。とりあえず食べて」


 イチゴのショートケーキが私の目の前にキラキラと輝いている。


 ………美味しそう。
 食べてしまったら思うツボかもしれないけど、せっかく準備してくれたんだ。


 …………食べてイイんだろうか。


 "今すぐ帰る"という決意は簡単に折れ、ソファーに座り直し、ゆっくりとショートケーキを手に取る。



 悠一さんは私が食べ始めたのを確認し、


「………………」


 私に淹れてくれたはずのカップを手に取り、私の横へと座った。


 私に出してくれたんじゃないの?
 

 悠一さんが取る一つ一つの行動に疑問を持ちながらも、ケーキを食す。



「美味しい??」


「あ、はい。美味しいです………」



 早く食べて帰らなきゃ。


 せかせかとケーキを口に頬張っていると、


「あのさ、紗和。俺と沙羅ちゃん、付き合ってること内緒にしてるんだよね」


 ホットミルクを飲みながら、悠一さんはお姉ちゃんのことを話し始めた。