……家族で住んでるにしては、部屋の間取りが狭いのが引っかかる。部屋はもう一つあるみたいだけど、物も全然ないし。本当に悠一さん以外も住んでるの?


 モヤモヤが募る。



 暗い顔をした私に気づいた悠一さんは、『とりあえず座って』と、リビングのソファーに私を座らせた。



「ホットミルクとか飲む? っていっても、来客用のカップなんてないから俺のに入れるね」



 戸棚を見ると、食器はかなり少なく、一人分しかないようにみえる。



 やっぱり、ここに悠一さん以外が住んでるなんて考えられない。



「…………あの、悠一さん、家族は」


「ああ、うん。アレね、ウソ。俺一人暮らしだから」



 ……………一人暮らし。


 私の分のホットミルクを入れて、お茶菓子を準備してくれている所悪いが、"一人"と聞いていれるはずない。



「………………私、帰ります」



 勢いよく立ち上がる私に、悠一さんは悲しい目を向ける。



「俺、この家に人入れたの紗和が初めてなんだけどな……」