姉のカレシの、闇に溺れて





「”昨日の夜に仕出かしたことは消えない”………か。ちゃんと覚えてるじゃん」


「……………え?」


「覚えてないって言ってたくせに。沙羅ちゃんに対しての”罪悪感”は覚えてるんじゃん」



 ……………な!!!
 もしかしてワザと!?


「……悠一さんは私に謝りに来たんでしょ?? 気にしてません。……もう、イイですから」


 何を考えてるのか分からない悠一さんと、目を合わせるのも怖くて一人先に歩き出す。



「紗和ちゃん、待って」



 教室で南瀬くんと触れた手を、悠一さんは乱暴に握ってきた。



「何す―――「俺は沙羅ちゃんと真剣に付き合っていく。これからも変わらないから。だから、紗和ちゃんとも仲直りしたいんだ」



 仲直りって…………
 別に喧嘩はしてないけど。それでも悠一さんはムリ。



 ――この人だけはムリ。