「え!? 妹!? ごめん…えっと、俺……今からキミのおうちにお邪魔する予定なんだけど、紗和ちゃんは大丈夫かな?」


 『ユウくん』の声は落ち着いていて、優しかった。ずっと聴いていたくなる、そんな声をしていた。


 その声に惚けていると、

「……やっぱり迷惑かな?」


 ユウくんは不安そうに問いかけてきた。


「と、とんでもありません! ユウくんの声があまりに素敵で……じゃなくて………姉にすぐ駅に行くよう伝えます!!」


「……うん。俺も紗和ちゃんの声好きだよ。じゃあ、沙羅ちゃんによろしくね」


「は、はい! 失礼します!!」


 ……………震える手で電話を切る。
 き、緊張した…………


 電話越しなのにユウくんの人の良さが伝わってきた。


 ユウくんめちゃめちゃ良い人だった……