…………俺は沙羅と紗和を間違えて襲った。
 紗和は俺が無理矢理襲ったとは思ってない。まだ、何とでも言い逃れできる。


 ―――――まだ、誤魔化せる。


「昨日少ししか話さなかったから俺のことだって分からないのかも。俺、紗和ちゃんの姉のカレシなんだ。不審者じゃないから安心して」


「………少ししか話さなかった姉のカレシが何で月野の弁当を? フツウ姉が届けに来ないですか?」


「沙羅ちゃんは大学の授業の都合で届けれなくてさ。代わりに俺が届けに来たんだよ」


 ……………クソ。南瀬くんの警戒が強すぎるせいで、紗和と会えても話してる時間はない。


「…………とりあえず、コレは本当に紗和ちゃんの弁当だから。キミに託すね」


 仕方なく紗和の弁当を南瀬くんに預ける。