………明らかに不審者と思われている。
「ちょうど良かった。俺、紗和ちゃんの弁当届けに来たんだけど。良かったら紗和ちゃん呼んできてもらえるかな??」
「…………そりゃどうも。ソレ、俺が届けますんで」
『ください』と言わんばかりに、男子学生は俺に手を差し出してきた。
…………コイツ。
「いや、気持ちはありがたいんだけど。紗和ちゃんにちょっと話があるんだよね」
男子学生は自分のロッカーにローファーを入れ、緑色の上履き用のスリッパに履き替え、『待っててください』と言うなり俺の元を後にした。
紗和のクラスメートが来てくれて、正直有り難かった。………だけど、弁当持って呼んできてって言ってる身内に随分な態度だ。
だが、待てども待てども紗和は来ない。
……………アイツ、ちゃんと伝えたのか?



