姉のカレシの、闇に溺れて




 確かめたい。
 その一心で、

「もしかしてとは思うけど、ちょっと紗和ちゃん俺に近寄ってくれる??」


 俺は紗和に『来て』と(うなが)した。


「は、はい??」

 言われるがままに俺に近寄る紗和。
 ………………この時点で確信した。

 『あの匂い』が俺を刺激する。


 沙羅がいるにも関わらず、ちょっとゴメンネと紗和を抱きしめる。


 コレだ……
 この、キモチイイほどの抱き心地。
 服の上からだけど、肌の柔らかさとか、何より、握っている手とか、俺の肌と吸い付く感じが分かる。


 ゾクゾクと、あの時の興奮が蘇る。
 ああ、もう。本当ヤバイ。なんだコレ……


 ゆっくり紗和から離れると、ワケが分からないといった感じで俺を見て、顔を真っ赤にさせていた。


 ……嬉しさ反面、絶望感が半端ない。


 やっと見つけたのに、何でよりによってカノジョの……沙羅の妹なんだ。


 これじゃ俺は紗和と付き合えない。


 どうやっても、付き合えない。