姉のカレシの、闇に溺れて




 しばらくして沙羅が俺を迎えに来た。
 その時に妹の紗和の事を聞いてみた。


 どうやら紗和は高校1年生らしい。



 ……………高校生。
 電車の子も高校生だった。


 もしかしたらあの電車の子を知ってるかもしれない、と、淡い期待を胸に沙羅の家に上がり込む。


 顔を見て挨拶をしようと思っていたのに、妹の紗和と思われる子に『早くコタツに入って!』と、リビングに行くよう急かされた。


 紗和は俺と沙羅の前に温かいお茶を出してくれた。


「ありがとう。俺、浅野 悠一(あさのゆういち)。沙羅ちゃんと同じ大学1年なんだ。急にお邪魔しちゃってごめんね」

「い、いえ――」


 …………………………………あれ
 この顔…………どこかで。
 


「もー!! 紗和ぎこちないよ! 今日、ユウくんウチに泊まるからね!」


「え、あ、うん……ユウく……悠一さんはどこに寝るの?」


「ん? ああ、俺は沙羅ちゃんのベッドで寝るから気にしないでね」



 い、いや……………
 そんな事あるはずない。


 月野紗和があの電車の子であるはずがない。


 そう思うけど、紗和は見れば見るほど、あの電車の女子高生にそっくりだ。