姉のカレシの、闇に溺れて





「………月野は本当にソレでイイのかよ。月野はずっとアイツのせいで姉ちゃんに恨まれながら生きてくの?」


「…………うん」


 それが私の罪だ。


 私はお姉ちゃんにそれほどの事をした。恨まれても、許される日なんてこない。


 下を向いて俯いていると、また、悠一さんの声が聞こえてきた。



「…………沙羅ちゃんが次のヤツに出会えるまでって思いながら、俺はずっと沙羅ちゃんの繋ぎでいたんだ。俺以外を探してほしかった」



 今更家の中に入った所で、お姉ちゃんに何を言えばイイか分からない。悠一さんにも、何を言えばイイかわからない。



 動けずにいる私の肩を、南瀬くんは軽く叩いた。



「――――やっぱりアイツはクズだよ。正真正銘のクズだ」



 『ほら、行くよ』と、私の腕を引き『お邪魔しまーす!!』南瀬くんは大きく声を出した。


 ……………ッ。
 ………怖い、怖い、怖い。


 悠一さんの事を”クズ”と言った南瀬くんの今から取る行動が分からなくて、お姉ちゃんに合わせる顔がなくて、悠一さんへの後ろめたさで、怖くて怖くてたまらなかった。