姉のカレシの、闇に溺れて





 …………悠一さん。



 今まで黙って聞いていた南瀬くんは『アイツ』と舌打ちをし、玄関のドアを開けようとした。



「南瀬くん、まって。お願い、何もしてないって事で嘘を貫きたい……お願い……します……」



 悠一さんがお姉ちゃんについた嘘は、お姉ちゃんを傷つける嘘じゃない。それは、今後の私達に必要な嘘だ………



「南瀬くん、”やったらやり返されるのは罪を償えなかったヤツの因果”って教えてくれた。南瀬くんは正しい……だけど、この先の未来、罪を背負って生きていきたい……」




 南瀬くんごめんなさい。


 悠一さんと一緒に生きていきたい……