姉のカレシの、闇に溺れて





「だから、紗和の分は残してあげてって言ってんだよ」


「…………でも、コレ、私のお金だし。紗和は紗和で、作りたくなきゃ買ってくるよ」



 もう何を言っても無駄だ。
 元はと言えば俺が原因だけど、でも、人を思いやれない沙羅につくづく嫌気がさす。



 ズボンのポケットから折りたたみの財布を出し、3000円を沙羅の前に差し出す。



「え?? ユウくん、なにそれ?」


「紗和の分。コンビニまで結構時間あるし、帰ってくるのが遅い場合もあるし、変なやつに連れ去られるかもしれないから。それを紗和にあげて」


「…………なにそれ。だいたい、何でユウくんはいつもいつも紗和ばっかりなの!? いくらカワイイにしても、度を過ぎてるよ!!」



 ――――そうだよ。
 俺の紗和に対する行動は、最初からずっと度を過ぎてるよ。


 でも、そこまで勘づいてくれてるならもうイイ。


 ――もう、ハッキリ言おう。