姉のカレシの、闇に溺れて




 沙羅に最寄り駅に着いた事を電話する。



「もしもし、沙羅(さら)ちゃん??」


「あ、の、私、沙羅の妹の紗和です………」


 …………妹?
 妹がいたのか。


 ……そうだよな。一人っ子とは言ってなかったもんな。


「ごめん……えっと、俺……今からキミのおうちにお邪魔する予定なんだけど、紗和ちゃんは大丈夫かな?……やっぱり迷惑かな?」


 自分のキャラを創って落としにかかる。コレでムリなんて言うヤツはいない。


「と、とんでもありません! ユウくんの声があまりに素敵で……じゃなくて………えっと、姉にすぐ駅に行くよう伝えます!!」



 妹の紗和も。
 俺が家に行くことに了承してくれた。



「……うん。俺も紗和ちゃんの声好きだよ。じゃあ、沙羅ちゃんによろしくね」


「は、はい!失礼します!!」



 姉の沙羅とは違い、紗和の声は聞きやすくて。落ち着いていて、耳に残る。そんな声をしている。



 ……うん、俺も紗和の声は好きだ。