姉のカレシの、闇に溺れて




「じゃあ、コレをもらおうかな」


「ユウくんお弁当も食べて!?」


「いや。おにぎりだけでイイよ。後は紗和に残してあげてて」


 『ね?』と微笑む。
 だけど、前に紗和とモメて以来、紗和とあんまり話をしていないらしい沙羅は、おもいっきり眉間にシワを寄せた。


「知らないよ、あんなヤツ。自分で何とかするでしょ」


「…………紗和、さっき家を飛び出すうに出ていったよ。コートも着ないで。探しに行く??」


「…………え、なんで」


「ん、ちょっと紗和が俺にワガママ言ったから、注意したら出ていっただけ」


 言葉を濁しながら沙羅に伝えるも、勘づいたのか『やっぱり紗和……ユウくんを……』と、悔しそうに歯を噛み締めている



「ユウくんもユウくんで、紗和の面倒見るから……」


「ハハッ。だって可愛くてさ」


「可愛くないよ、あんな妹。だから同級生の男の子にも見放されるんでしょ」