『ねぇ、ユウくんはどう思う!?』と、相当頭にきている沙羅を横目に、気持ちを落ち着かせる。


「…………まあ、普通に嬉しいかな」


 ハハッと笑ってみせると、沙羅はまた不安そうな顔をした。


「…………え?」


「いや、好きだとしたら普通に嬉しいからね」


「でも、相手……紗和だよ??」


「だとしても嬉しいよ」



 ”嬉しい”なんて事を言う俺に、腑に落ちない様子で顔を歪ませる沙羅。


 本当なら『沙羅が好きだよ。一番だよ』と言ってあげたいけど、紗和が嫉妬してくれてるかもしれないと分かった今、そんな事は言わない。



「ユウくん、浮気しないでね??」


「………………ハハッ」



 返事を笑いで返すだけで何も言わない俺を、沙羅はまた泣きそうな表情で見ていた。



 ……………今、こうして甘えた声を出されてるだけでも吐きそうだ。



 顔も、体も、声も、性格も、匂いも、全然沙羅と似ていない紗和に、ただただ救われる。