「でも、償うにしても、姉のカレシは認めないかもしれないから。言いにくいかもしれないけど、月野の部屋に抱かれた痕跡というか、証拠とかってある?」


 ……………証拠。


「…………ない」


「じゃあ、そういうやり取りのLINEとかある?」


「当たり障りないやり取りしかしてないから……」


 ………今思うと、私とヤったと思わせる行動が……証拠が何もない。



 あと2分もすれば家に着く。――という所まで歩いてきた。


 でも、伝えなきゃ。
 南瀬くんが頑張ってくれてるんだ。


 私も頑張らなきゃ。



 一人、変に覚悟を決めていると、南瀬くんは私の表情を確認するかのように、ちらっと後ろを振り返った。



「全部終わって月野がもし、俺を選んでくれる事があったら……そしたら、今度こそ普通に恋愛しよう。俺と……普通に恋愛しよう」