…………南瀬くん。
 『付き合おう』って言ってくれたのに……



 やっぱり南瀬くんには私が知らない私も見えている。私の全部を知ってくれてる。



 だから、南瀬くんの言う事はいつも正しい。


「姉と悠一さんが別れたとしても、私と悠一さんが何もなかったら……お姉ちゃんは知らないほうが良いんじゃ……」


「話し合った後で、姉のカレシと姉が別れなかったとしても、もし、姉のカレシと月野が付き合わなかったとしても謝らなきゃ。……謝らなきゃ、いつかやり返される。やられたらやり返す、やったらやり返される、ってよく聞くけど、それは罪を償えなかったヤツの因果だと思う」


「…………因果」


「ほら、因果応報って言うじゃん。俺、それ信じちゃってるから。だから良い行いをすれば良い報いがある!」


「……………………」



 ………私は謝らない事で、無くしきれない姉への罪を誤魔化そうとしている。



 南瀬くんの心が綺麗すぎて、私の汚い心がとてつもなくおぞましく感じた。