「…………南瀬くん、やっぱり怖い……お姉ちゃんとは家族だし、縁を切る事はできないし。悠一さんとデキてたって話した時に壊れちゃったら、もう……」
姉川が憎くてたまらないはずだったのに、まだ傷つけたくないと、この後に及んで欲が出る。
自転車を引きながら、私の腕を引いて前を歩く南瀬くんに、ボソッと弱音を吐いてしまった。
「でも、話し合わないと。――姉とも、姉のカレシとも、この先もずっとこのままだと俺は、思う」
「…………………お姉ちゃんを傷つけずに、なんとかできないかな?」
「それができてないから、月野は今もこうして悩んでるだろ??」
「……………そうなんだけど」
話し合って一番傷つくのは間違いなく、お姉ちゃんだ。
それでもお姉ちゃんは、
………お姉ちゃんだけは悪くない。
「今話し合わなくても、月野と姉のカレシが付き合う事になったら、間違いなく姉ちゃんは傷つくよ」



