「ちがう、そんな事ない!! 好きじゃない!なんで、南瀬くん……私の道を正してくれるんじゃないの………!?」


「月野、落ち着いて。俺は月野を見放したりしないから。ただ、本当の事を知りたいだけ。月野が姉のカレシの事を好きなのかどうか、知りたいだけ」


 …………好きじゃない。

 
 好きだなんて思いたくない……


 絶対、好きだなんて言わない……


 ギュッと手を握りしめる。
 すると、南瀬くんは私の握りしめていた手を、両手で解いてくれた。




『月野は俺に今までの事話してくれたけどさ、だいぶ、誤魔化してるでしょ。つーか、月野の事だから盛大にウソついてる』と、ククッと笑いながら、開いてくれた手をお仕置きと、ムニッと摘まれた。



「何でそんなこと、南瀬くんが分かるの……?」


「だって好きだから。月野が好きだから。だから、俺、月野より月野の事分かるから」




 ――――――そこまで分かってて、何でまだ私の隣にいるの?何で見放さないの……?


 肩を震わせ泣く私を、南瀬くんはゆっくりと擦ってくれた。



「―――――月野、大丈夫だよ。それでも月野は悪くないから。悪いのはやっぱり、姉のカレシだよ」