姉のカレシの、闇に溺れて




 ………………え。
 む、むり…………


「お姉ちゃんには言えない、言いたくない……」



 そんな事を言ってしまったら、お姉ちゃんは……


『ユウくんは私のカレシだから。手、出したら許さないからね』


 ――――絶対言えない。考えるだけで怖くて、目を瞑る。



「それじゃあ、ずっと月野は姉のカレシから逃げられない。前も言ったけど、月野の姉の事は別にどうでも良いんだ」



 でも…………



「今帰ったら、お姉ちゃんのカレシ……悠一さんもいる……」



「………うん。姉のカレシもその場にいてもらって、ちゃんと話そう。大丈夫、月野は俺が守るから」