姉のカレシの、闇に溺れて





「…………月野は俺がカレシじゃイヤ?? 不満??」


「不満なんかない。けど……」


「けど?? 俺は月野の体目当てで付き合いたいワケじゃないし。大丈夫だから。普通に恋愛しよう?」


「普通に恋愛……」


 普通に恋愛なんて、そんなの考えないようにしてた。


 南瀬くんがカレシなんてこんな贅沢……私なんかが良いのかな。



 私じゃ南瀬くんには釣り合わない。
 でも、南瀬くんの優しさに甘えたい。好意に甘えたい。


 悠一さんに抱き続けるモヤモヤをどうにかしたい。


 ゆっくり頷き、南瀬くんの顔を見てみると『やったぁ』と涙をボロボロ流しながら喜んでくれた。


 ――この人を、南瀬くんを大切にしたい。裏切りたくない。


「……………月野、お姉さんって家にいる??」


「――――?うん、コンビニからもう帰ってると思う……」


「言おう。……月野が姉のカレシにされた事を全部、今からお姉さんに言いに行こう」