「…………私、最低なの」
「月野は最低じゃないよ」
「だって私、お姉ちゃんのカレシと……「それでも、悪いのは月野じゃない。悪いのは姉のカレシだよ」
ぎゅううっ、と痛いくらい抱きしめてくる南瀬くんに、ただただ涙が流れる。
悠一さんと何をシたのか聞いてこない辺り、きっと南瀬くんは分かっている。
「一回くらいの間違いは誰にでもある。だけど、間違えた事を間違えたままにしちゃダメだから。俺は月野を正しい道に引っ張れるヤツになりたい」
……………南瀬くん。
南瀬くんの、震える声が心にズッシリくる。早い鼓動が伝わってくる。
しっかり南瀬くんの声を、言葉を聞きたい。
発しようとする言葉に耳を澄ませる。
「―――――俺、月野が好きだよ」



