姉のカレシの、闇に溺れて




 …………私の為に、自分の悪事を暴露してくれた。


 学校では会話もロクにしていないのに、避けまくっているのに、何でこんなに優しいんだろう。


 だとしても南瀬くんは、人の恋人を寝取ったりは絶対しない。


 南瀬くんには迷惑かけないって誓ったんだから……

 言えない。


 前はイヤでも追い回してきた悠一さんだけど、今は違う。今は『姉のカレシに迫られてる』なんて、前のような理由は通用しない。


「…………………何でもない」


 何を言えば良いのか、どう言えば正解なのか、分からない。

 …………ごめん、南瀬くん。


「俺、ずっと月野が心配だったよ。ずっと……月野が心配だった。月野は何でもないって言ってたけど、ずっと様子変だし。薄々感づいてたけど、今悩んでる事は姉のカレシが原因だったりする?」