「私、こんなの望んでない!!」

「でも俺はこうしたいんだよ」


 何言ってるのか分からない。
 結局、悠一さんはお姉ちゃんを抱きたいだけじゃん。


 お姉ちゃんとこの先ずっと一緒にいたいって事じゃん……


 苦しい。
 もう自分が分からなくて、自分が何をしているのかも分からなくて、気づいたら悠一さんにキスを迫っていた。


 悠一さんが気持ちいいと言ってくれた体を密着させて、上目遣いで見上げる。


 まさか自分がこんな事をするとは思っていなかった。


「悠一さんキス、シて。お姉ちゃんとどう違うのか今、ここで教えて」

「………………ソレ、沙羅ちゃんにしてもらったから」

 
 自分の中に爆弾が落ちたみたいに、目の前が真っ暗になった。


 気づけば悠一さんを突き飛ばし、家から飛び出した。


 ……………お姉ちゃんにシてもらったって何!? あんなに自分勝手にシてきたくせに、追い回してきたくせに。


 何で今更冷めた目で私を見るの………
 何で『紗和はもう必要ない』みたいな目をするの……


 もう悠一さんにとって、私は本当に用済みなんだ……


 
 今は2月下旬の寒空の中、コートも持たずに、お金も持たずに出てきた為、何もできずに地べたに座り込む。