あんまり女子高生に視線を向けないように、自分が降りる駅までひたすら待つ。


 ――――ガタンと大きな揺れがあり、バランスを崩し女子高生に抱きついてしまった。


 ………………汗のせいか肌が染みつく。同時に俺の心臓の鼓動も早くなる。


 早く離れなきゃいけないのに……この子、キモチイイ。肌が吸い付くし、しっくりくる。



 ヤバイ…………


 こんなの知らない。


 俺が求めてた感覚は、ずっと追い求めてた感覚は、コレかもしれないとさえ思ってしまった。


 気持ちよさに浸っていると、
 

「――――――――――痛」

 女子高生は俺の足をおもいっきり踏み、睨みつけてきた。


「ゴメン、悪気はないんだ」


 当たり前だ。抱きついてしまったんだ。痴漢と思われてもおかしくない。


 こんな状況で当たり前だけど、連絡先なんて聞けるワケもなく、かといってまた抱きつくなんてできるはずもなく、約1時間動かない電車の中でジッと耐えていた。


 ――――コレが、月野紗和(つきのさわ)との出会いだった。