姉のカレシの、闇に溺れて




「良かった」


 ホッと肩を撫で下ろす悠一さん。
 過去の恋愛を色々聞くのはどうかと思うけど、ほんの少し知りたくなった。


「悠一さんは……過去の女の人達にも作ってあげたんですか?」


「過去の女は全部遊びだし、唯一付き合った沙羅ちゃんにもないよ」


「…………お姉ちゃんが風邪引いちゃったら作りますか?」


「作らないよ。せいぜい何か食いものを買ってくるくらいかな。手料理は紗和が初めて」


「…………悠一さんはお姉ちゃんを利用して、私とどうなりたいんですか? 体の関係?」


「違うよ。俺は紗和とずっと一緒にいたい。だから、その為に沙羅ちゃんと付き合ってる。紗和に近づく為に」



 何回も聞いて、何回も同じ事を言われるけど、いまいちピンとこない。


 悠一さんの力になってあげたいはずなのに、どうしたら良いか分からない。



 ただ唯一、一つだけ言える事はある。


「悠一さんの力になってあげられるなら、お姉ちゃんを抱かなくても私を抱いていいよ……」