姉のカレシの、闇に溺れて




 悠一さんの家へ着くなり、『紗和、コレに着替えな。制服はハンガーに掛けとくから』と、私に自分の私服を貸してくれた。


 …………悠一さんの匂いが洋服からする。


 落ち着く、好きな匂いだ。
 ほんのり嗅いだ後、洗面所でいそいそと着替えていると、


「下着とかは洗濯するから。貸して」


 悠一さんがガチャリとドアップを開けて入ってきた。まさか開けて入ってくるとは思わずに、恥ずかしさで顔が赤くなる。


「…………え!? な、なん……」

「いや、下着を……」

「自分で洗うから良い!!」

「大丈夫。ちゃんとネットに入れて、俺の洗濯物と紗和のは別にして洗うから。つーか、何をテレてんだよ、今更だろ?」


 ……………今更って言われたって。


「俺は紗和の裸も見てるし、なんならトイレにも入っちゃってるし。今更だよ」


「………………そうだけど、でも、下着がなきゃ……」


「良いから、ほら、早く」


 仕方なく着ていた下着一式と、制服の下に着ていたヒートテックを脱いで悠一さんに手渡す。


 この変態……!! 堂々と目の前で洋服の匂いを嗅ぎだした。



「もう! 早く出てって!!」


「ハイハイ。じゃあ、着替えたらリビングおいでね」