「悠一さん悪い人じゃないの。ちょっと強引なだけで。でも、今なら少しだけ悠一さんの気持ち分かってあげられる気がする」
呟くように吐き出す私を見て、南瀬くんは口を閉じた。
「南瀬くんは私を気にかけてくれるけど、多分ソレは南瀬くんの優しさで。ホテルに入りたいも気の迷いだと思う」
「…………え?」
「南瀬くんは私の事本当は好きじゃないんだよ」
「…………は?」
「本当に好きだったら、もっとなりふり構わず求めてくると思うし。何かを利用してでも手に入れたいって事だと思うし」
「…………ちょっとまって。何の話してんの」
「南瀬くんが私に抱いてる感情は錯覚だって話」
南瀬くんの意見を聞かずに、南瀬くんの感情を否定しまくる。
――――だって南瀬くんはクラスでも人気者でかっこよくて優しい。
そんな人が私を好きだなんて、やっぱりどう考えてもあり得ない。
それに、南瀬くんは悠一さんのように私に対して必死じゃない。全然私が好きだって伝わってこない。



