姉のカレシの、闇に溺れて




 ――――そうだよ。
 仮にそれが南瀬くんの本心なら、私は南瀬くんの気持ちに答えられない。


 南瀬くんはカッコイイし、優しい。文句なんて何一つない。南瀬くんと付き合えたらイイなと思ったりもしたけど、でも、それは恋愛じゃない。


 ――ただ、優しい南瀬くんに。
 私のコトを気にかけてくれる南瀬くんに甘えているだけだ。


 『好き』というのはもっと……


 ふと、悠一さんの顔が頭に浮かぶ。


 違う!! 違う、違う、違う!
 悠一さんを好きなワケじゃない、絶対違う……



「……月野、ゴメン。もうあんなコト言ったりしないから。俺を拒絶しないで」



 ――――前回、一緒に登校している時南瀬くんを置いて行ってしまったからだろう。

 

 自問自答していると、南瀬くんは困った顔で私の腕を掴んだ。