姉のカレシの、闇に溺れて




「紗和、昨日どこで寝たの?」

「…………下のリビングで」

「俺を追い出せば良かったろ。今からでもベッドに入ってちゃんと寝て。今日は念のため、学校休んで。俺はもう出るから」

「悠一さんはもう大丈夫なの?」

「ん、紗和の部屋で寝たら落ち着いた。ありがとう。ごめんね」


 念のため、悠一さんが部屋から出てからベッドに入ろうと、立ちすくんでいると、”もう出る”と言った割にはなかなかベッドから出てくれない。


「紗和、何してんの。早く。風邪ひどくなるよ」

「…………悠一さんが出てから入る」

「何ワケわかんない事言ってんの」

 腕を引っ張られ、悠一さんの上に覆いかぶさるように寝転んでしまった。

 ――早く退かなきゃ!!
 離れなきゃ、また………
 また、いいようにされてしまう。