リビングへと着き、ソファーに横になる。

 1枚くらいは毛布を持ってくれば良かった。と思いながらも、エアコンをつける。
 横になりながら、ふと、今日一日の事を考える。


 悠一さん、普通にしてたら良いお兄ちゃんなのに。
 今日も勉強分かりやすかったし、教えてもらうのも楽しかった。
 何もなければ話すのだって全然苦じゃない。

 普通に出会いたかった。

 普通に姉のカレシとして仲良くしたかった。
 普通に南瀬くんや友梨ちゃんに、悠一さんを自慢したかった。

 『姉のカレシがカッコイイ』って、『優しくて自慢』って言いたかったけど、それはもう叶わない。

 どうしたって叶わない。

 電車の中で会う事がなかったら、私と悠一さんは今も普通でいられた。
 悠一さんのクズな面を知らずに済んだんだ。