ヤバ……
 味が味だけに一気に食べるんじゃなかった。

 『ユウくん大丈夫!?』と心配する沙羅に、『大丈夫』と、一言だけ返す。


「何で一気に食べるの!? ソレ、一日二粒までって……」

「沙羅ちゃんは俺にキスしてほしいんでしょ?」

「してほしいけど、でも……こんな……」

 目に涙を溜めながら俺を見る沙羅。
 心配してくれてるんだろうか。……イマイチ分からない。
 いや、別に分からなくても良い。

 だって俺は沙羅の事を知りたいなんて思ってない。

「ユウくん、電話で”凄く抱きたい”って言ってくれてたのに……だから期待してたのに……」

 ポロポロと涙を流す沙羅の頭に、ゆっくりと手を置く。
 宥めるように頭を撫で、

「ごめんね。やっぱり俺、女の人自体がまだムリかもしれない」

 ――沙羅にとって、残酷な言葉を言ってしまった。