姉のカレシの、闇に溺れて




「紗和、部屋の方が……『ユウくん、紗和、おまたせー!!』


 …………………。


 甲高い声を発する沙羅を見る。
 白いモコモコのパジャマを着て、ワザと胸元を大きく開けた状態で俺達の前に出てきた。


 何考えてんだ。この、バカ。紗和もいるんだぞ。


「お姉ちゃん!? ちゃんとパジャマ着て!!」

「なんで? 別に紗和とユウくんだけだし」

「悠一さんもいるから問題なの! ほら、ちゃんとして!」


 有り難いことに紗和が、胸元が大きく開いた沙羅のパジャマのジッパーを上げてくれた。


「だってユウくんが"我慢できなくなる"とか言ってくれたから…………」


 恥ずかしそうに呟いてはまた、俺の横にベッタリとくっついてきた。


 ………………………ああもう、気が散る。


 せっかく楽しかった時間が、沙羅によって台無しだ。