”これだから少し頭が良い人は”と、俺に向かって悪態をついている。
でもどこか楽しそうで、そんな紗和を見ていたらおかしくてたまらない。
昨日も思ったけど、紗和はやっぱり元気な方が良いな。
本当は俺だって悲しませたくないし、怒らせたくなんてない。
――南瀬くんが俺を警戒するのも分かる。
俺を憎く思ってるのも分かる。
俺ももし、南瀬くんの立場だったら、凄く恨むし、憎む。
でも、それでも紗和は渡したくない。
――紗和だけは絶対に渡したくない。
紗和が得意だと言う世界史を教えていると、
「……悠一さん、私に変な事したりするけど、友梨ちゃんのパパ活止めてくれたり。何気に少しだけ優しい所はあるんだよね。今も勉強教えてくれてるし、100%悪ではないんだよね……」
消えそうな声でポツリと呟いた。



