姉のカレシの、闇に溺れて



 不貞腐れる紗和を横目に、持ってきてもらったテストの解答用紙を見る。
 結果はまあ、なんとも……
 自分で”成績良くない”というだけの事だけある。


「なるほど。ほとんどのテストが50点いってないね」

「…………どうせバカって思ってるんでしょ」

「……勉強得意じゃないんだろうな、って思ってるだけ」

「どうせ、お姉ちゃんみたいに頭良くないよ……」


 誰も沙羅と比べてないだろ。
 コレがヤキモチだったらどんなに嬉しいか。

 拗ねてる紗和が可愛くてつい、イジワルしてしまいたくなる。


「じゃあ、紗和が得意なヤツってどれ? 今日は好きな物をしよう」

「そんなの、世界史に決まってるでしょ。異常に点数が良いの、悠一さん見て分からないの?」

「異常にて……たかが60点だろ」

「はあ!? 私にとっては60点なんて史上最高に良い点数なんですけど!」

「…………あ、ゴメン」


 今は俺に対して敬語じゃない。
 どうやら、警戒は少し解いているらしい。