姉のカレシの、闇に溺れて




「沙羅ちゃん。紗和の気が散るから、もう少し離れてくれないかな」

「ユウくんにくっついてるだけでもダメなの?」

「ウーン……教えづらいし。それに、途中で色々と我慢できなくなったら大変だから」

 虫唾は走るような事を口にする。
 言ってて鳥肌が立つ。

 ようやく都合の良いように勘違いしてくれた沙羅は、顔を赤くして『じゃあ、お風呂入ってくるね!』と、俺の傍から離れた。


 沙羅が離れたのを見て、紗和も自分の部屋へと勉強道具を取りに行く。

 ――風呂に入ってくれたのは予想外だった。
 これじゃ、沙羅が部屋にいようがいまいが関係ない。


 思う存分、紗和に教える事ができる。