姉のカレシの、闇に溺れて



「そっか、うん。そうだね。自分でなんとかしてみるね」


 切なそうな目で『ごめん』と苦笑する沙羅。
 その光景を見ていた紗和は、俺をジッと睨んでいた。


 ”お姉ちゃんをもっと大切にしろ”とでも言いたいんだろう。
 ――余計なお世話だよ。

 こんな事で沙羅は俺を嫌いにはならないし。
 俺から離れられるワケない。

 無事に家にお邪魔する事ができた俺は、沙羅からリビングへと通された。
 エアコンがガンガン効いてる部屋でテーブルへと着く。

 それでもやっぱりお茶とケーキを準備しているのは紗和で。
 沙羅はというと、俺の横にベッタリと、ウザイくらいにくっついている。


「悠一さん、ケーキありがとうございます。コレ、悠一さんのケーキ」

 テーブルの上にコトン、と俺用のコーヒーとケーキを置いてくれた。

「――ありがと。勉強道具持っておいで。ここでしようか」

「…………でも」


 隣にベッタリくっついている沙羅を見て、申し訳なさそうに俺を見る。