姉のカレシの、闇に溺れて




「構わなくないです! お母さん達もうすぐ帰ってくるし……」


「沙羅ちゃんは"今日帰れないって連絡あった"って言ったよ?」


「…………お姉ちゃん」


 ギリッと悔しそうに唇を噛む紗和。
 "余計な事喋らないでよ"と、言いたそうな心情が読み取れる。


「とにかく今日は無――『ユウくん! いらっしゃい! 上がって上がってー!!』


 紗和が玄関のドアを閉めようとした瞬間、ナイスタイミングといった具合で沙羅が現れた。こういう時沙羅は頼りになる。


 沙羅のおげで、追い出されずに済んだ。


「沙羅ちゃん、夜遅くにごめんね。実は今日は紗和ちゃんの勉強教えるのが一番の目的なんだ。でも紗和ちゃんに教え終わったら、一緒過ごそ? いい??」


「もちろんだよ! ユウくん優しい! 大好き!!」