私が紗和だって通じない。
 ………全然、通じない。


 目に涙を浮かべながら、必死にどうしたらいいか考える。

 『おもいっきり足踏まれて凄く睨まれた。紗和ちゃん、覚えてるかな?』


 ………………コレだ!!
 私が紗和だと分かってもらえる方法は、もうコレしかない。



 今ならまだ間に合う。
 全てを無かったことにできる。


 私はまだ抗える。


 気持ちいいと、キスの余韻に浸る悠一さん。…………の足膝をおもいっきり蹴り上げる。


 ………お願い、伝わって。