姉のカレシの、闇に溺れて




 『私達も勉強を教えてほしくて』と顔を真っ赤にしながら俺にお願いしてくる友梨ちゃんと、まあ教えてもらわなくてもと思いつつ紗和が気になる南瀬くんも『今日たまたま部活休みで。お願いします』と俺に頭を下げてきた。


 友梨ちゃんはまあイイとしても。南瀬くんは絶対俺を良い印象では見ていない。


 誤解を解けるものなら、仲良くなって誤解を解いていたいけど、俺の事を"ライバル"として見られている手前、この数時間だけでどこまで心を許してくれるだろうか。


「……………いいよ。分かった。でも、紗和過去のテストを持ってきてくれたんだよね? 南瀬くん達に点数知られちゃうけど良いの?」


 "しまった"と慌てる表情を見せる紗和。
 南瀬くんと友梨ちゃんは『別に気にしないよ』と言ってくれているが、紗和本人はたじろんでしまっている。