強い目で睨む私に気づいてるのか、気づいてないのか。それとも『どうせなにもできないクセに』と嘲笑っているのか。


 『じゃあ友梨ちゃん。紗和はもらっていくね』とニコッと微笑みかけ、私の腕を強く引いて歩き出した。


 歩けど歩けど悠一さんが腕を離してくれる気配がなく、つい、腕を振り払う。


「……………悠一さん、巻きこんでごめんなさい。友梨ちゃんの事も、おじさんの事も説得してくれて嬉しかった。だけど………」


「だけど、なに」


 "だけど"
 友梨ちゃんには普通の恋愛をしてほしいから。


「友梨ちゃんに愛想振りまかないで!!悠一さんを好きになっちゃう!!」


 だだでさえ、お姉ちゃんの事で頭がいっぱいなのに、友梨ちゃんまで惚れちゃったらもう、どうしようもできない。


「…………俺を好きでいてくれる子はウジャウジャいるよ。仮に友梨ちゃんが好きになったとしても、俺にとってはその中の一人に過ぎないから」


「悠一さんはそれで良いかもしれないけど…………」


「じゃあ、紗和が友梨ちゃんに言ってよ。"悠一さんは私に惚れてるからダメ"って、忠告しといてよ」