姉のカレシの、闇に溺れて




 その後すぐに友梨ちゃんが戻ってきて、重い空気のまま食事を終えた。


 オジサンは結局分かってくれたのかは分からないけれど、食事を終えた後は私達にお辞儀をして帰って行ってしまった。

「……オジ、今日ブランドの時計くれるって言ってたのに、用意してなかったのかな……」

 ボソッと吐かれた友梨ちゃんの言葉に私と悠一さんは何も反応できなかった。

 多分、オジサンはあの鞄の中に用意してただろう。
 だけど、ソレを友梨ちゃんに渡さなかったって事は多分、私達の言葉は通じたんだと信じたい。


 ションボリする友梨ちゃんに、悠一さんは優しく声をかけた。


「………友梨ちゃん、カワイイんだからもうこんな事しちゃダメだよ??」


 子猫みたいな目で猫を被る悠一さんに、友梨ちゃんはまた顔を真っ赤にした。


「……………ハイ」

「それに、俺が友梨ちゃんを好いてる立場だったら、オジサンに高級ディナーとか、高級ブランド物を貰ってるのはヤダな。………分かってくれる??」