姉のカレシの、闇に溺れて




 オジサンは私をチラ見しながら、

「…………キミにとってもその子は特別だろう??一緒じゃないのかい??」


悠一さんに問いかけた。


「特別ですけど一緒じゃないですよ。だってこの子はパパ活なんてしないし、ご飯をご馳走してくれなんて言わないし。なんなら避けられてるんで」


 ハハッと困ったように笑う姿に、罪悪感を感じる。


 …………理由はなんであれ、悠一さんを巻き込んでしまうのはやっぱり違う。


 私もフォークを置き、オジサンの目を真っ直ぐ見つめた。


「私、友梨ちゃんが大切なんです。オジサン相手のパパならまだ多少マシですけど、多分オジサンが成功したら友梨ちゃんは次々パパ活するようになると思います。お願いです、友梨ちゃんと関係を切って下さい」


 深々と頭を下げる私を見て、悠一さんも一緒に頭を下げてくれた。


 ………………悠一さんはお姉ちゃんの事を傷つけて、私にまで手を出した最低なクズ男だけど、今、このオジサンに一緒に頭を下げてくれている。


 今だけは感謝してしまう。