姉のカレシの、闇に溺れて





 結局悠一さんは"紗和と自分の分は俺が払う"と聞かずに、メニューを頼んでしまった。


 オジサンは飲み物は赤ワインにしようか、白ワインにしようか悩んでおり『赤ワイン、キミもどうだい??』と悠一さんに問いかける。が、悠一さんも未成年だ。


「俺まだ20になってないんで酒飲めないんですよ、スミマセン」


 気まずそうに断ると、オジサンは残念そうに眉を下げた。


 ……………なんだかんだこのオジサン、悪い人ではなさそうだ。


 しばらくして料理が運び込まれ、テーブルに1品1品並び始めた。


 1品目からキャビアがサーモンに盛りつけされてあり、とても美味しそうだった。


 見たことない料理ばかりを一通り食べ終え、食後のコーヒーを待っている間に、『ちょっとおトイレに』と友梨ちゃんが席から立ち離れてしまった。