姉のカレシの、闇に溺れて




 入り口から一歩も動けない私に、悠一さんはそっと手を引いてくれた。


 私達4人が通された席は個室で、4人余裕で座れる席だった。


 席に座るとオジさんはメニュー表を広げ、

「コースを4人前頼もうと思ってるんだけど、キミ、大丈夫かな??一応コレが一番安いけど」


 悠一さんにコレと、問いかけた。

 コース料理……一番やすくて二万!?


「悠一さん、私やっぱイイ」

 こんな料理、奢ってもらうワケには行かない。
 私にこんなお金使うより、お姉ちゃんとデートしたり、洋服買ってあげたりしてほしい。


「あの、、、、紗和のも奢って??」


 目を丸くして、上目遣いでオジに頼む友梨ちゃんに、悠一さんは速攻否定した。


「ゆりちゃん。紗和の分なら俺、全然払えるから。大丈夫だよ」


 ニッコリ友梨ちゃんに笑いかける悠一さん。
 友梨ちゃんもそんな悠一さんの笑顔に顔を赤くした。


 ……………ダメだ。このままじゃ友梨ちゃんが悠一さんに惚れてしまう。



 根拠はないけど悪い予感がした。