私の横にいた友梨ちゃんがニタニタしながら、


「残念ー! 紗和は今日私と帰るの!」


 私の代わりに南瀬くんの誘いを断ってくれた。


 不服そうに顔を歪ませる南瀬くん。



 今朝、『一緒に登校しない方がイイ』なんて思ったけど、南瀬くんは私を心配してくれているんだ。


 今もこんなどうしようもない私を心配してくれている。


 これ以上南瀬くんの優しさを無下にできない。


 それに、避け続けて南瀬くんの尾が切れて、誰かに今朝のことを相談してしまったら、それこそもう、取り返しがつかない。


「南瀬くん。今日一緒に帰ることはムリだけど、朝は一緒に登校できるから。また南瀬くんが部活がない時に迎えに来てくれるかな??」


「……………分かった。気をつけて」



 南瀬くんの不服そうな顔が、少しだけ柔らかくなった。