姉のカレシの、闇に溺れて





 かといって、私から悠一さんの話題を振るのはおかしいし。


 南瀬くんが何も言ってこないなら、玄関での話には触れない方がイイ。


 『余計なコトは言わない』と、心に留める。


 何気ない会話をしながら、学校まであと少しになった頃、南瀬くんは困った顔を見せた。


「……………南瀬くん??」


 さすがに気にならないワケがなく、覗き込むように南瀬くんの顔を見る。


 何か言いたそうな表情は変わらない。



「…………ごめん、俺、今朝……月野と姉のカレシがホテルから出てくる所見たんだ……で、そのまま後つけてきた……」