姉のカレシの、闇に溺れて




「…………」


 どうしよう………
 何があっても睨み合っているんだろう。南瀬くん、お姉ちゃんと悠一さんになにか言ったのかな。



 声をかけれないでいると、私の視線に南瀬くんが気づいてくれた。



「月野おはよ。学校行こう」



「……………うん」



 悠一さんに目がいかないように下を向き、南瀬くんの元へ近寄る。


 何かを察したのか、南瀬くんは私の手をギュッと握った。


 『行こ』と、玄関を出る。



 見なくても分かる。


 悠一さんの視線が痛いほど伝わってくる。


 睨まれているのが分かる。



 5分くらい歩いた後『ハア〜〜〜』と、大きく溜め息を吐いたのは、私ではなく南瀬くんだった。



「……………マジ緊張したし。家行ったら姉ちゃんいんじゃん」


「……………う、うん」


「何回か会ってはいるけど未だに緊張する〜〜」



 可愛くハニ噛んだ笑顔を私に向けてきた。


 ………………あれ、悠一さんのことについては触れないの??



 ……何かあったんじゃないの?