姉のカレシの、闇に溺れて





 急かしく髪を整え、バタバタと部屋を出て行ってしまった。


 …………疲れた。
 姉の部屋から出ては、自分の部屋へ重い足で入る。


 体がキツイ。休みたい。



 でも学校だけが唯一気分転換できる場所だ。行かない選択肢はない。


 時計の針はもう7時を回っており、それでもおぼつかない手でゆっくり制服を着る。



 お姉ちゃんまだ戻ってこないな。まだ悠一さんと話してるのかな……


 気になりながらも学生鞄に今日の授業の教科書やらノートやらを入れていると、『紗和ー!!!』とお姉ちゃんの声が玄関から聞こえてきた。



 また悠一さんがワケ分からないことを言っているのだろうか。とりあえず部屋から出ることはせずに『何ー!?』と叫び返す。



「南瀬くん来たよー!!!」